AIの手伝い役を何人も動かしたら、待っている間に使用量が溶けた。コスト管理の監督役を置くまで
手伝い役は5分待つと、会話の全部を最初から書き直します。1人が3時間半待ち続ける間に、週の使用量が5ポイント進んでいました。
AIの手伝い役(サブエージェント)を何人も動かして、画面を作らせる。作る人、見直す人、最後に厳しく採点する人。チームで動かすと、仕上がりは確かに良くなります。
ただ、ある日、使用量の減り方がおかしいことに気づきました。2026-10-11、アプリ「App Key」の画面を作っていた日です。
11人の手伝い役が、3時間半、待っていた
作り手の手伝い役は1人です。やっていたのは、検査の終わりを待つこと。sleep 15 を繰り返すループで、画面の検査が終わるのを待ち続けていました。1回のコマンドで最大10分、それを何度も。
この3時間半の間に、週の使用量が 26%から31%に増えました。作り手1人が動いている間に5%です(同じ日にほかの手伝い役も動いていたので、1人だけの分とは切り分けていません)。
記録を開いて、理由が分かりました。キャッシュが切れた19回は、1回あたり平均約187,000、多い回は約249,000トークンを書き直していて、その回の読み直しは0でした。
25分で、キャッシュが切れる
AIは、会話の全部を毎回読み直します。同じ内容を続けて送るときは、前に読んだ分を覚えておく仕組み(キャッシュ)が効いて、安く済む。ところが、この覚えておく時間が5分です。
5分を超えて待つと、目を覚ました時に覚えていた分が消えていて、会話の全部を新しく書き直すことになる。書き直しは、読み直しよりずっと高い。10分待つと、1回で最大約25万(切れた回の平均は約19万)を書き直していたわけです。
その作り手を、いま同じ道具(自作の agent-cost.py)で数え直しました。
2026-10-11 の作り手1人(Sonnet)の記録を数え直した結果
| 数えたもの | 数字 |
|---|---|
| 動いていた時間 | 208分(約3時間半) |
| 返事の数 | 88回 |
| キャッシュが切れた回数 | 19回 |
| 書き直した量 | 3,786,561 |
| ◎うち、キャッシュ切れで書き直した量 | ◎3,560,094(94%) |
書き直しの大部分が、待ったことで無駄に払ったぶんでした。
3全体で数えると、どうだったか
そのセッション全体(本体と手伝い役21人)で数えると、書き直しは36,612,094。そのうちキャッシュ切れの書き直しが21,071,393で、58%でした。
ここで1つ、食い違いがあります。スキルのメモには、当日に数えた数字として「62%(約1,200万)」と書いていました。いま同じ道具で数えても、その数字にはなりませんでした。元の計算の仕方が残っていないので、ずれた理由は確かめられていません。なので、この記事では数え直せた方の数字を使っています。
4置いた決まりと、置いた役
決まりは単純です。
- 数分を超える検査を、手伝い役に待たせない。長い検査は親(私の側)が裏で流して、終わりの通知を受けてから結果だけを見る
- 小さな直し(1ファイル・文言・設定1つ)は、手伝い役を呼ばずに自分で直して測る
- 同じ文脈を何人にも読ませない。大きなファイルは、読む行の範囲だけを渡す
それから、コスト管理の監督役を置きました。名前は cost-supervisor。Sonnet を、考える量を低めにして動かす、読むだけの役です。
やることは3つ。手伝い役を呼ぶ前に計画を見て、「そのまま・下げる・呼ばない」を決める。区切りごとに、だれがどれだけ使ったかを数える。週の使用量に応じて、使うモデルを切り替える表を持つ。
週の使用量と、手伝い役の動かし方(監督役の定義にある表)
| 週の使用量 | 厳しい監督 | 作り手・見直し役 |
|---|---|---|
| 60%未満 | Opus・考える量 高 | Sonnet・中 |
| 60〜80% | Opus(採点は最後の1回だけ) | Sonnet・中(見直し役は低) |
| 80〜90% | Sonnet・高 | Sonnet・低 |
| 90%以上 | 呼ばない | 呼ばない(止めて保存する) |
もう1つ、使用量が1%増えるたびに合図を出すフックも付けました。使用量を読むのは5分に1回まで。合図が出たら、監督役を呼んで、見直しの結果を返事に1行で書く決まりです。
数える道具 agent-cost.py は、書き直しと読み直しと出力、キャッシュ切れの回数、長い待ち、20万を超える大きな文脈を1つの表に出します。上の表は、この道具の出力です。
5うまくいかなかったこと
役を足した直後は、足した会話の中では呼べませんでした。「その役は見つかりません」と返ってくる。次の会話から使えます。同じ理由で、フックの合図も、新しく開いた会話から効きます。
もう1つ。10-15 には、会話そのものが長くなりすぎるのも同じ形の無駄だと気づきました。会話は、1回やりとりするたびに全部を読み直します。そこで会話の大きさを測って、20万トークンで「次の区切りで新しい会話へ」、30万で「今すぐ」と合図するようにしています。
6正直に言うと、まだ分からないこと
監督役を置いて、実際にどれだけ減ったのかは、まだ比べていません。 同じ規模の作業を、置く前と後で数えたわけではないからです。監督役自身も使用量を使います。減らした量が、監督役のぶんを上回っているかは、これからです。
この記事を書いた人
NextCode(沖縄県宜野湾市)は、iOSアプリ・ホームページ/LP・NFCデジタル名刺・AI業務自動化を作っている開発スタジオです。ここで書いているのは、実際に作って公開したものと、その過程で詰まったことだけです。
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